Cold Phantom [前編]

「まったく…そう言う所はお前らしいな。だけど、それくらいが良いのかもな。」
そんな先生の励ましを聞いた。
勉強に感じての励ましは多分初めてだった気がする。


そして１０月…いつもの様に焼きそばパンとフルーツ牛乳を渡すたけと、それを貰う里村と言ういつもの風景が展開されている。
しかし最近は里村も勉強を始めるようになっていた。彼もまた受験が近くになってきているらしい。
「今日もいつも通り、クラブが終わってからで良いんだな？」
里村も慣れた風に言ってくる。この台詞も聞き慣れたものだが、返事はいつも通りではない。
「あぁそっか、里村はクラブに入って無いんだったな。」
そう言ったのはたけだった。言われてみると確かにそうだ。俺は里村に顔を向けながらこう続けた。
「昨日でクラブを引退する事になったんだ。もう時期が時期だからな、受験に専念しないといけないし…」
「あぁ、そうなのか…もう、そんな時期になったんだな…」
っと彼も返してきたが、何故だろうか…少々歯切れの悪い言い方に感じたのは…。
でも気のせいのように感じたのも事実だ。俺はあまり気にはしなかった。