Cold Phantom [前編]

7、8月の夏休みはコンクールの追い込みで、勉強はその帰りに里村の家に行くと言う状態になっていたが、夏休みなのでそのまま泊まりになる事もあった。
9月になり本格的に進路の話が入る。第一志望に槍蔵北高校の名前を書くと…何よりも早く先生に呼ばれてしまう。想像通りの展開だったので驚かなかった。しかし、意外な形で驚く事になる。
「猿…お前、北高受けるのか?」
「受けるッスよ~」
「…そうか。頑張れよ。」
「えっ?」
意外な返答だった。
絶対に違う学校に行けとか言って来ると思っていたのに…
「意外そうな顔してるな。」
「意外ッスから…」
そう言って返すと、先生は少しだけ間を置いてこう言ってきた。
「何となく違う学校を受ける気はしていたからな、最近お前のテストの点数の変貌ぶりはたけを含めて目を見張るものがあった。だから上を目指している気がしていたんだ。まぁそれが北高だったのには驚いたが…」
なるほど…俺は心中で納得した。先生はまだ話を続けた。
「やっぱり、目的がはっきりしていると人は変わるものだな。だがまだ北高を受けるには力不足だろう。」
「今が追い上げ時なんッスよ。最下位でも何でも受かれば良いッス。」