Cold Phantom [前編]

それから数ヶ月程がたった。
「買って来たぞ~」
といつもの様に焼きそばパンとフルーツ牛乳を袋に入れて持ってくるたけの姿と…
「おぉ、サンキュー♪」
いつもの様に俺達のもとにやってくる里村の姿があった。
俺達には何よりも時間が無い、放課後の決まった時間にはこうして全員で集まり、帰る時も7、8時まで親が帰ってこない里村の家で勉強会を毎日のようにやっていた。
毎日が勉強詰めなんて少し前までは考えたくもなかった事なのに里村の教え方が良いのか、少しづつでも理解出来てくる実のなる勉強に、嫌な気持ちなど持てるはずが無かった。里村自身も多少の癖はあるものの、付き合い易い性格だったので自然と仲良くなっていた。
5月も終わりに近づいて来ると少し雨の降る割合が増え、6月の本格的な梅雨の時期に入り、ますます強くなる雨のために里村の家から帰宅するのに鬱になりそうになった。
たまに早く帰ってくる里村の親も思っていた以上に親切にしてくれたりで、たまに晩御飯まで頂いた事もあったりで、すっかりお世話になった。