Cold Phantom [前編]

偶然って重なるように続くとどうも夢の続きの様に思えてしまう。
夢の中でしか起こりにくい出来事を現実で起こしてしまう事を偶然と呼び、ある種の奇跡とも言うのかもしれない。
いきなりこんな事を思い始めた理由…それは職員室で起きた事がきっかけだった。
「失礼しま~す。」
私はゆっくりと職員室の扉を開ける。
放課後の職員室はゆったりしたムードを持っていた。
「あぁ、姫納か。丁度良いとこに来たな。」職員室の窓側に席を置く明智先生が私に向かって私に対して手招きする。
そこには先客も居て、一人はたけ君でもう一人が…。
「あっ…。」
「えっ?」
私は思わず「えっ?」と言ってしまった。
勿論、たけ君じゃないもう一人の男の子に対してだ。
何せ、その男の子は…
「ヒロ君…。」
だったからだ。
「何だ、姫納。知り合いなのか?」
「あ、はい…昨日保健室で…。」
「保健室?あぁ、そっか。そう言えば昨日発表会で倒れた二人ってお前たちだったよな。なら、知ってても不思議じゃないか。」
そう言って先生はヒロ君と私を交互に見ていた。