Cold Phantom [前編]

「ヒロ君?」
「ちわっす、先輩。」
またまた偶然なのか私の後ろにはヒロ君がいた。
昨日会ったばかりなのに今日もまた会うとは…
「私の事ストーキングしてない?」
「何となくそう言われそうな気がしたっす。」
ヒロ君がそう言ってまた無邪気な笑顔を見せる。
昨日の今日でストーキングするような男の子には見えないし、私も何故かこの偶然が嬉しかった。
昨日会ったばかりなのにヒロ君の前だと凄く落ち着く…、私は自然と小さな笑みが溢れた。
多分、空気の相性が良いんだろうなってそう思う。
何となく…そう、何となく何だけどヒロ君は私によく似た《音》みたいな物を感じる。
なぜ音なのか…そう言われると少し悩んでしまう。
ただ漠然と《音》としか言えなかった。
「ヒロ君…」
私は長い行列を辛抱強く待つその途中、ヒロ君にちょっとだけ質問をしてみる事にした。
「ヒロ君と会うのこれで二回目だけど、二回目でこんなに息の合う会話が出来るなんて、中々無いと思うの。」