Cold Phantom [前編]

そうこうしているうちに昼休みに入り、チャイムが鳴ると同時に教室の半数の人間が廊下に凄い勢いで吸い込まれていった。
「…私、この中に入っていくの?」
その勢いはよもや牛の突進その物。
いや、牛相手でも数の暴力で惨敗してしまうのでは無いだろうか…そんな勢いだ。
とても私についていけそうに無い。
でも、みーちゃん曰く…
(最初に飛び出して行く連中は長い昼休みを有効活用したくて走ってるようなもんよ。祥子みたいにご飯はゆっくり食べたいって人はちょっと急ぐくらいで十分。)
と言う助言を頂いていた。
つまり、遅すぎるのも駄目と言う事。
その言葉通りに私は私ペースで学食へ急いでみた。
その結果…
「これは、どう考えても…」
遅れた部類の列番だろうなと、遥か遠い所にある受け取り場を見つめる。
私なりのペース程度では学食では生き残れない。
私は改めて学食戦争の凄さを思い知らされた…気がする。
「あれ、姫納先輩?」
突然後ろから呼ばれる。
知っているけどあまり馴染みのない最近知ったばかりの声だった。