Cold Phantom [前編]

それに気づいているのかいないのか、状況整理の為に周りを見回した。
そして…
「げっ!」
ようやく気付いたみーちゃんは状況を把握したようだ。
今の授業は社会、そして社会の先生は…
「普通の生徒ならまだしも、吹奏楽部員が俺の前でグースカ寝てるなんて良い度胸だな青村。」
「あ、あはは…そ、その、今度の夏の大会で金賞が取れる様にするためにも、体が資本かなと思ってちょっと休憩をしてたんですよ。」
言わずもがな明智先生だった。
「部活後に職員室な。」
「…はひ。」
終わったと言わんばかりの意気消沈ぶりだった。
もう、慣れたかなとか思っていたけど…やはり嫌な物は嫌なようだ。

「お前も相変わらずだよなぁ、一日何時間寝りゃ気が済むんだ?」
「うっさいなぁ、変態は黙っててよね。」
授業が終わると即座にやって来たのが湯川君だった。
ここぞとばかりに茶々を入れに来たようだ。
人の不幸を楽しむ性格なのは長い付き合いで知ってはいたけど、みーちゃん相手だととても顕著に現れる。