でも、私の言葉に明智先生は慌てる素振りはなかった。
「大丈夫、心配せずとも手は打ってある。」
「え?」
私はそんな先生の一言に少し呆気に取られた。
「それじゃ先輩、また放課後で。」
「うん、またね舞ちゃん。」
朝練後、舞ちゃんは廊下を駆け出し手をふりながら離れていった。
本当に小動物みたい…と、私の身長が高かったら言えただろうな…。
「はぁ…」
「いきなり盛大なため息するっすね。姫納先輩。」
私の背中で声がかかった。
聞き覚えのある声だ。
「たけ君…やだ、見てたの?」
「見えたって感じっすね。見ようと思って見てなかったっすよ。」そう言ってその童顔によく似合う子供っぽい笑顔を見せながら、スティックケースを肩にかけた。
自前の物らしく、中に入っているバチもクラブ内で支給される物よりもずっと上等な物だった。
たけ君が中学時代に部活をやっていたのを疑う訳じゃなかったけど、たけ君のバチ捌きは本物だった。
ドラムパートリーダーの湯川君も「部長として負けられない。」と焦り半分、やる気半分で意気込んでいた。
「大丈夫、心配せずとも手は打ってある。」
「え?」
私はそんな先生の一言に少し呆気に取られた。
「それじゃ先輩、また放課後で。」
「うん、またね舞ちゃん。」
朝練後、舞ちゃんは廊下を駆け出し手をふりながら離れていった。
本当に小動物みたい…と、私の身長が高かったら言えただろうな…。
「はぁ…」
「いきなり盛大なため息するっすね。姫納先輩。」
私の背中で声がかかった。
聞き覚えのある声だ。
「たけ君…やだ、見てたの?」
「見えたって感じっすね。見ようと思って見てなかったっすよ。」そう言ってその童顔によく似合う子供っぽい笑顔を見せながら、スティックケースを肩にかけた。
自前の物らしく、中に入っているバチもクラブ内で支給される物よりもずっと上等な物だった。
たけ君が中学時代に部活をやっていたのを疑う訳じゃなかったけど、たけ君のバチ捌きは本物だった。
ドラムパートリーダーの湯川君も「部長として負けられない。」と焦り半分、やる気半分で意気込んでいた。


![Cold Phantom [後編]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.763/img/book/genre4.png)
