「何だよ、ジロジロ見るなよっ」


俺とした事が、ついつい見とれていたようだった。


ピンク色の頬では飽きたらず、耳まで真っ赤になる始末。


「…ごめん」


―――きっと、どうかしてるんだ、俺。


大切な物を自分から捨てたくせに、弱ってるんだ。


情けないよな、…ったく。


「名前聞かせて?」


「薫子(カオルコ)だよ。お兄さんは…”翔(カケル)”だろ?」


「あぁ…その通りだけど、知ってるんだ?」


「うん、本当はさ…お兄さんが何者かも知ってるよ」


一瞬、驚きを隠せなかったが…


何者かを知ってるならば、是非、聞かせてくれよ。


俺がどんな人物なのか、をな。