「もしもし?!」
携帯から男の人の声がする。
・・・純君だ。
あたしは一気に緊張した。
携帯を耳にあててみる。
「・・・・。」
お互い、無言のままが10秒くらい続いた。
「・・・愛じゃないよね?」
純君はそう言った。
あたしは耳を疑った。
馬鹿じゃないの?
誰か分からない番号に、女の子の名前上げるなんて。
「・・・ホスト失格。」
「愛!愛だ!やっぱり!」
電話の向こうで純君はあからさまに興奮してる。
「・・・あたしじゃなかったら、どーすんの。」
「わかんない!でもいい!だって正解じゃん!よかった、連絡くれて。」
「・・・なんで番号・・・?」
「愛、メアドに番号はいってた。愛かなって思って、わかんないけど、かけてみた。」
「・・・・ふふっ。」
「何笑ってんの?」
「ううん、別に。」
「何うけてんだよ。お前、連絡すんの、おせー。」
「いいじゃん、別に、あたしに連絡しても、何も無いよ。」
「あー。もう。屈折してる。めんどくせ。」
「うん、そう。めんどくさいの。ごめんね。」
「あー・・・。まじお前、調子狂う。」
「意味わかんないよ。」
あたしは電話越しで、
キャンディーを抱っこしながら、
笑顔で会話をしていた。
数時間前、このソファの上で泣いていたのが嘘のように。
