「じゃぁ、今日はありがと、芽衣も、愛ちゃんも。」
「うん、またね、健二。」
健二君に手を振って、あたし達は歩き始めた。
「愛!!」
後ろから、大きな声が聞こえた。
純君だ。
「お前、なんで俺のこと送りにしてねーんだよ!!」
階段を走ったのか、少し息切れしている。
「なんでって、そんな義理ないじゃん。」
あたしは冷静に答えた。
「そういうオチ?!」
純君はまさか。といった顔をしている。
「純、愛に営業すんのは根性必要やでぇ~。」
芽衣ちゃんはニヤニヤしている。
「違う、なんかよくわかんねーけど、そういうのじゃない。」
「何がやねん!」
「とりあえず、なんか興味ある!そんだけっ。もぉいい!知らん!」
そういって、何かをピッと投げて、純君は店内にすばやく戻っていった。
「なんやねん、あいつ。何か投げってたけど・・・。」
近づいてみると、名刺が落ちていた。
「あ、アドレス書いてある、連絡先交換せーへんかったん?」
「うん、してない。」
「もぉー、愛は固いな。ほんま!
純いい人やから、もしだったら連絡してあげてな。」
芽衣ちゃんはあたしの手に名刺を握らせた。
「じゃ、うち金もないし電車で帰るわ。今日ありがと!付き合ってくれて。
ごめんな、ホストなんか連れてって・・。」
「ううん、芽衣ちゃん、健二君のこと、好きなんだね。」
「・・・うん。大好き。金でしか繋がってないかもしれへんけどな。
愛してる。」
今までに見たことのない、
愛の形だった。
