さっき、仕事をするように会話しようと決めたばかりだったのに、
気がつけば、あたしは純という人と普通に会話をしていた。
やっぱり相手もプロだった。
思えば、あたしは大学にこの仕事の話を出来る友達は真紀しかいなくて、
男の子に仕事の話をするなんて問題外だった。
きっと、理解されるわけがないから。
軽蔑されてしまうんだろうと、思っているから。
でも、ホストという職業なら、
同じ悩みや、同じ経験を持つのは当たり前だった。
純君は22歳であたしの2個上だ。
出身は仙台で19歳からホストをやり始め、
今の店で3店舗目らしい。
趣味はサッカー。
好きなタイプは優しい子。
という、
ありきたりな情報を手に入れた。
よくわかんないけど、売り上げがいいから、幹部という役職についているらしい。
「てか、ホスト初めてなんて嘘でしょ?」
純君は真顔であたしにそう聞いてきた。
「なんで嘘つくの?初めてだよ。あたし歌舞伎きて、まだ三ヶ月も経たないし。」
「まじっ?!見えねぇ~。」
