「と、となり座ってもいいーーですか・・?」
あたしはすでに疲れていた。
仕事が終わってこんな朝まで飲んだ挙句、
印象最悪のホストと再び再会してしまった。
しかも、あたしが客というシチュエーションなんて。
でも、隣で芽衣ちゃんは健二君にベタベタしながら楽しそう。
KYって奴だ。
そうだ、仕事するみたいに、相手すればいい。
そうあたしは心の中で決めた。
「はい。大丈夫。さっきは興奮しちゃってごめんなさい。」
「よかった!」
そういって彼は八重歯を見せてニッと笑って隣に座った。
「てか、雰囲気変わったよね?前よりめっちゃ可愛くなってね?!」
「・・・。そぉですか。ありがとうございます。」
「前はもっと素朴な感じだったよなぁ?」
「・・・はぁ。あんな一瞬で、よく覚えてますね・・・。」
「俺、可愛い子みたら絶対忘れなーい♪」
ホストトーク。
でも、こんな言葉を言われて、
悪い気がする女の子なんて、
居ない。
普段、夜の世界で、
接客をしている女の子達にとって、
この異様な空間で、
お酒を飲みながら、自分のタイプの男の子に、
愚痴を聞いてもらったり、
騒いだりするのは、
最高の癒しの空間かもしれない。
