「とりあえず荷物もっちゃいますね。」



そういうと眼鏡をかけた気弱そうな男は落ちた洋服をかき集め道の端に走った。


もお。最悪。



あたしはすみません、と小声で言いながら人混みをかきわけ男を追った。



「すみません。わざわざ。」

「いえ。いいんです!でも、洋服、汚れちゃいましたね。」


「マジ?はあ…最悪。2万もしたのに」



あたしはがっくりと肩を落とした。


「2万ですか?たったの。


「たったのって。大金ですよ。」


「お姉さんなら、1日で3万。いけますよ?」


「3万?あたし風俗とか興味ないです!」



「キャバクラです。水商売ならどうですか。お姉さんなら、それくらいいけます。僕が保証します。」



あたしは怪訝そうな顔をした。

大学にキャバ嬢の友達は居るけど1日に3万も稼いでない。