授業が終わり、
仕事で使うためのドレスを買いに、
あたしは新宿へ向かった。
新宿サブナード。
新宿駅の地下にあるショッピングモール。
沢山のドレス屋が並んでいて、
出勤前の歌舞伎町で働く女の子達が歩いていた。
あたしは緊張しながら近くのドレス屋に入った。
店に入った瞬間、ひときわ目立つ白のドレスがあたしの目に入った。
これ、いいな。
「お客さんに、きっとお似合いですよ~。
ちょっと高いですけど、それなりの質ですし、おすすめです。」
ありきたりな感じで、店員が喋りかけてきた。
静かに値札を覗いてみると、
24500円。
買えない金額じゃない。
昨日までなら、
手に出来なかった金額。
でも、今のあたしなら容易に買える金額。
せっかくなら、
自分を高価に見せたい。
昔から着飾ることで自信をつけてきた。
小学生のとき、安全ピンでピアスをあけた。
中学生になったら、名前も知らない薬で髪の毛を脱色した。
真っ赤に腫れた耳についた樹脂ピアスや
栗色に染まった髪の毛はあたしに自信をつけてくれていた。
「安いですね、コレください。」
あたしは値札を見つめながらそう呟いた。
