ネオン


家に着くと、時計の針はもう3時を廻っていた。

階段を上り、玄関のドアをあけると、

ワンワンッとミニチュアダックスのキャンディが吠えた。


「しっ!いい子にして。お母さん起きるから。」


あたしはキャンディを抱えてリビングへ向かった。




キッチンの横に、いつものようにラップに包まれた夕食がある。



片手でキャンディを抱き、余った手でラップを剥ぎ取った。


「あー。お腹すいたー。ねぇキャンディ。」


髪はスプレーでがちがちだし、

少しタバコ臭い。

早くお風呂に入って、課題をやって、明日に備えないと。




「琴音。」


眠そうな顔でお母さんがリビングのドアの前で立っている。



「何?ごめんね、起こして。」


「ほんと、静かにしてよ。で、何なのよその髪型。」


「ヘアーメイクでやってもらった。」


遅めの夕食のハンバーグをもぐもぐさせながらあたしは答えた。


「そお。・・・夜の仕事でもやんの?」


若干馬鹿にしたような、

にやついた顔でお母さんは言った。


「うん。琴音キャバクラやる。」


「アハハ!あっそお、あんたが。

 やれるの?あんたに。いっぱい稼いで養って頂戴。

 あたしも夫が居ないと大変だよ。」


そういってお母さんはまた寝室へ戻っていった。


普通、というか

大抵の母親なら水商売をやる娘に不安や心配を抱くかもしれない。


けどあたしは自分の母親にそんな言葉は期待してない。


3年前に父親が死んでから、

お母さんとあたしの関係は冷え切ったままだ。


嫌いなわけじゃない。

でもどう接していいか、

きっと、お互いがまだわからないまま。





彼女の言葉を聞いて、


あたしは決意を固めていた。


自立して暮らせるくらい、



この仕事で稼いでやる。