「千種ちゃん行こっ」

「うん!」


体育の授業でみんな体操服を持って更衣室へと向かっていた。
私も準備をして更衣室へと向かおうとしていた。


「ねぇ,大槻さんだっけ?」

「そう…だけど…?」

「一緒に行こう」

「え……?」


……。


突然,住倉さんに声をかけられて聞き慣れない言葉も掛けられた。

私は,あまりにも聞き慣れない言葉過ぎて一瞬わけが分からずにいた。

住倉さんを誘っていた女の子達は引いた顔をして住倉さんをほって先に行ってしまった。


「良いの…,あの人達先に行ったけど…?」


私のせいで…


「あ,本当だ。でも良いや。そんなものだったんだろうし」

「……」


笑い飛ばす住倉さん。


「私は,大槻さんと行きたいの。変な遠慮しなくて良いからさ」

「あ,ありがとう…」


初めて言われた言葉…。


「うん!私,住倉千種。さっき聞いてくれてたよね?」

「あ,うん。聞いてたよ…。私は,大槻夜瑠」

「夜瑠って名前なんだ?」

「うん…」


変って言うのかな…。
暗い名前って言うのかな…。


「可愛い名前じゃん」

「え…」

「お互い珍しい名前どうしだね」

「うんッ」

「夜瑠って呼んでも良い?」

「い,良いよ…」

「私も千種って呼んでくれて良いからさ」

「分かった」


初めて,こんなに私に話しかけてくれたのは。


暗く静かで話すのが苦手な私とは正反対な明るく元気で話すのが得意な千種ちゃん。

そんな千種ちゃんが私に話しかけてくれた事は戸惑いもあるけれど正直嬉しかった。