「今日は教えてくれてありがとうね,夜瑠」

「ううん。こんなんで良かったらいつでもまた…教えるから」

「あはは,ありがとう」

「うん。じゃあ…帰るね」

「送らなくて良かったの?」

「うん,大丈夫。道覚えたし,もし分からなかったら…メール見るから」

「そっか。また明日ね~」

「ばいばい」


最後は友夏里さんの事を触れる事なく別れた。

最後の最後まで気まずくなるのはごめんだからね。


*


「おはよ,夜瑠~」

「あ,千種ちゃん。おはよう」

「昨日はありがとうね~。今日朝さ,頑張って1人で作ってみたんだけど昼食の時間少し食べてみてくれる?」

「あ,うん。良いよ…」

「ありがと」


朝,頑張って作ったんだぁ…。
凄いな,早速挑戦して。


*


「夜瑠,食べてみて下さ~い」

「あ,はい」


昼食の時間,今朝言っていた通り千種ちゃんの弁当のものを少し食べる事になった。


「えっと…どれとれば良い?」


千種ちゃんの弁当の中には卵焼き,ハンバーグ,ご飯などがあった。


「もちろん卵焼きです先生ぃ」

「あ,はいッ」


先生と言う言葉は慣れなくて戸惑ってしまう。

千種ちゃんの言われた通り卵焼きを1つ箸で掴んで食べてみた。


パキィ…ッ


ん゛…?


食べた瞬間卵焼きから鳴るはずのない音が聞こえた。