青ビーダマ


今日の空は、顔を少しも上げる事が出来ないくらい眩しい。

まだ7月に入ったばかりでこんなに暑いのでは、クーラー代がかかるのもそう遠くない。

小夏は目を半開きで、目上に手をかざして歩いた。

「…あちぃな。」

氷室は、シャツのボタンを胸元が少し見えるくらいまで外し、手で顔に風を送っている。

小夏は微妙に顔を反らし、熱い顔に更に体温を増した。

「…まだ夏前なのにねぇ。」

「な、こりゃ今からでも夏休みにしてくれそうじゃね?」

「ないない、生徒指導はガク先生だよ。」

氷室は大声で笑った後、暑さでだんだん体力を無くし、溜め息をついた。

「あ゙ー…小夏、お前ん家寄らせて、ジュース飲みてぇ。」

氷室は胸元をパタパタさせて言ったが、その言葉は小夏の顔を真っ赤にさせていた。

「ダっダメだよ!そんなの自分家にだってあるでしょ!?」

「は?何で、家に入るくらいいーじゃんよ。」

小夏は真っ青になって悩んだ。

幼馴染みとはいえ、健全な男子を簡単にホイホイ家の中を通していいのだろうか。

氷室はそんな事はしないと分かっているつもりなのだが…。