そうしてガク先の授業も終わり、次々と時間が過ぎていき、もう放課後になった。
小夏達、中三はまだ夏のちょっと前だが、既に部活を引退している。
なので、この時間はいつもこの辺に居るはずなのだが―――…
(……あ。)
目的の彼が、玄関で友人に手を振って、笑顔を見せている。
小夏が長年見てきた笑顔は、こんなんじゃない。
幼馴染みにしか見せない笑顔は、また違う。
「あ!小夏!!」
何もかも知られているかのような、悪戯っぽい笑みを見せる。
周りの彼に憧れている下級生達も、羨ましそうに小夏を見る。
小夏自身、ちょっと誇らしげな気持ちになれた。

