翌日。玄一さんがいなくなってもやっぱり日常は変わらない。

あたしは珍しく早起きをして学校を飛び出す。

早速玄一さんとの約束を果たす第一歩を踏み出す為に。

精一杯走り抜いて、もう1日の始まりだと言うのに既に体力はゼロに近い。

教室にはやっぱりもう桜太君は来ていた。桜太君はやっぱり驚いている。


「おはよう!」

「はよ…………珍しいな」

「まあね」


こうやって学校で2人きりになるのは3日前以来かな。

あ、そういえば。聞きそびれていた事があったんだった。今なら教えてくれるかな?


「教えていなかったな。舌打ちした理由」


聞こうとしたら意外にも桜太君自らがその事を言い出す。


「静かだからだよ。誰もいないたった1人の空間でいると、
この外から見える景色とかも違うように見えるし、自分だけのものに出来たような気分になるし」