からくり姫と戦士 ブレイクムーンワールド01

ハッシュアン皇女は部屋にかくまっているアールのことは
宮殿中には内緒にしていた
一日4度の食事も全てアールに分け与えていた

ハッシュアンの部屋にはありとあらゆる生活必需品が完備されていたし
それらは機械人ビーグの特別な取り計らいで
宮殿から集められたものだった。

アールが宮殿に突然現れて五日目の午後
ハッシュアンとアールは何気なく会話を交わした

「私たちはとても脆いケースの中で本当の真実の多くを知らされず
本当の脅威にさらされているのですね
とても憂慮すべき事態です…わたしも本当の役目を果たすべくそろそろ旅立つときなのでしょう…そうは思いませんか戦士アール」

「わかりました皇女様
この宮殿のものには内緒にする条件でならあなたの申し出を受けましょう」

「わかってくれますか…」

「もちろんですとも皇女様…あなたを私たちの組織に丁重に迎え入れる準備ならとうにできております」


旅立ちを明日に控えた夜
荷物の準備は最小限にせよとのアールからの忠告に従って
本当はもって行きたい薬草の調合の道具は
ハッシュアンは半分に絞り込んでいた。
その夜は嵐の夜だった

夕刻あたりより降り出した雨は大粒のスコールとなり
雷雲が宮殿の周りを取り巻いていた

寝入ったばかりのハッシュアンは宮殿の内部の様子が騒がしいので
何かが起こったのだと察知した

宮殿が外部から何者かの攻撃を受けていることは明らかだった

戦艦といっても飛行船を模したものだった
砲弾は宮殿の各所に直撃し
あるところでは火災が発生していた

地響きと振動　砲撃の轟音がやがて辺りをつつみこんでいた。