女性として生まれたこと
多分
彼女には彼女に降りかかる苦難が
自分に巡り合せた多くのことが
その要因だったろうと思う

アール マーゴットと名乗る女性は
彼女自身の生い立ちを余りまわりの者たちには語らなかった

貧困にあえいだスラムに育った幼少時代

9歳のときようやくすさみきった生活から抜け出せると
ある使者との出会いで彼女は貧困にあえぐスラム街を後にした

しかし彼女は臓器不正売買の被害者としての立場を与えられていた
彼女は医学解剖の危機を回避するため

拉致された個人船から命からがら抜け出す

そしてそのときから世界中の様々の国々で波乱に満ちた人生を送ってきた。



アールにとって運命的な出会いは
12歳の年になる
彼女は国際規模の武器商人の元でその生活の面倒を受けることとなった

モルハ ギューン は死の商人として
国際的に重犯罪者としての肩書きを持つ人物だった

ただ
素顔の彼を知る数少ない証人のアールは
モルハがそのような冷酷な人間には到底思えなかった。

彼は物静かで
いつも他人に笑顔を絶やさず
周りの人間に対して常に誠実にふるまう好人物だった。

モルハは仕事に関して妥協を許さない人物だったし
彼は自分の仕事が犯罪行為であってもある大きな信念みたいなものをちゃんと持っていた。