サクラ、咲く

石の中に、大介さんの名前はあるのだろうか。



「大介…大介…。…これ?」



工藤大介…これだろうか。



まだ、インクが濃いから、最近書いたのがわかる。



「これだよね…」



工藤大介と書いてある所の前に座った。



何故か足が震えた。



この人が…



秀平が愛して



秀平を愛した人……。



「大介さん…。ごめんね。…ずっと、秀平を見守っていてください。」



もう、涙は止まっていた。



でも、胸を鷲掴みされたような、苦しさが残った。



「姫…もう暮時です。帰りましょう」



…もう夕日が見えてる……。



5時間も経ったのか…。