最後のひとつは、ケイタが通した。

「完成!!」

みんなとやると早いもので、あっという間に完成できた。


ゆりかとさとこが鶴を持ち上げる。

1番上には、大きな色とりどりに塗られた折鶴が誇らしげにたっていた。


「すげえな」
「広告でつくったんだ。ゆりかと2人でね。あとは絵の具で塗ったんだよ」


さとこが説明した。


「でも、2日で終わるのってすげくねえか」
「俺たちは、上野がかかってるかならな」
「早速、持って行こうよ」


ゆりかがいそいそと立ち上がった。
それにつられて、ケイタも立ち上がる。


その鶴に寄せられた思いはみんな一緒だった。
1羽たりとも、その思いがこめられていない鶴はいない。

それは、上野が絶対に帰ってくる、と信じているからこそ強く思えたことばだ。

ケイタたちはその思いを胸に、眠っている上野のそばにおいてもらった。


『早く上野が帰ってきますように』とこめられた千羽鶴を・・・・・