「いってらっしゃい」


いつものようにキスをすると
湊は仕事に行った。


バタンと閉まる扉を
じっと見つめたまま、
動けずにいる。

しばらくそのままの状態だったが
隣の人が出ていくような
音でハッとした。


洗濯などしなくては
いけないことが色々あるのに
ボーッとしている場合ではない。

早足でリビングに行く。




「………」


ガランとしたリビング。


どうしてだろう…

前はこの空間が好きだった。
心地良かったはずなのに。


今は寂しくて…
出ていったばかりの湊に
もう会いたくなってる。