「そ…うっ…」

静かに湊の体に手を回して抱きついた。

すると更に強く抱き締め返してくれた。


人に甘えるなんて久しぶり。

母が亡くなってから、誰も甘えられる人がいなかったから。



「…ふっ…ぅ……」

涙が止まらない。


けどこの涙は、悲しいから出たわけじゃなくて、嬉しさから出たものだった。


独りじゃないと思えた。

この人なら弱さを出せるかもしれないって…