澪樹…こんな世界で

街を離れた僕たち三人は

文明圏を避けるように
内陸部へと進んでいった

飲料水や食料に不足して
苦しい旅生活は相変わらず続いたが

キムはあのときのベッドに縛られていたときのような
そんな苦しい表情は
どんなに険しい旅でも
二度と見せることはなかった

僕たち三人は険しい山を越えていた
木の実や果実が覆い茂る山で
それなりに楽しいひと時を過ごした

そこで焚き木をしている一団に出会った


昔意気投合したシンガーたちだった
ケインも健在だった

ケインはキムを見るなり擦り寄って強く抱きしめた
「キム…キムや このあいだより元気そうじゃないか」
「許しておくれ 私がお前を手放したことを後でどれだけ後悔したことか…」




僕にはもうひとつ仕事が残されていた
キムの真実の事実を彼らに教えるということを…