「2時間くらいかかるから、寝ててもいいよ」


「うん」


大学が始まった初日、私は退学届を出してきた。


あんなに頑張って入ったのに、辞めるのはこんなに簡単なんだって思ったらなんだか切なくなった。


でもこの決断に、後悔はしてない。


勉強はいつでも出来る。


この子は、今産まなきゃ一生この世に誕生することはないから。


「菜々、緊張してるの?」


「してるよ」


今日は充の家に行く。


結婚の報告に。


「充の家族は?」


「父さんと母さんと、ばあちゃん」


「そっか」


「両親とも働いてるからさ、昔から俺のことはばあちゃんが見てくれてたわけ」