「菜々、緊張してる?」


「してるよ。なんか、親裏切ってるみたいで」


そう言ったら、頭をポンポンされた。


「大丈夫。俺が全部説明するから」


「あんたは、緊張しないの?」


「名前で呼んで?」


「充・・留は?」


「充でいいよ。もちろん緊張してるよ」


そう言って、困ったように笑った。


「結婚させてくださいならまだしも、妊娠させてしまいましたって言うんだからさ」


充は今日も、スーツ。


今思うと、海で見た半ズボンとTシャツの格好よりスーツの方が似合ってる。


「話、合わせてね」


「わかってる」


電話で私たちは、こう話した。