朝ごはんを食べて、玄関に向かった。


「やめた」


いつも履いてるヒールが高いミュールに手をかけて、別のミュールに手を伸ばした。


「こっちの方が、ヒールが低いからね」


何気に、こんなとこまで気にしてしまう。


また電車に1時間揺られて、海のある駅に降りた。


ここで、あいつが迎えに来てくれる。


あいつの家は、この海の近くの結構大きいマンション。


車も、高そうだった。


「菜々!」


あいつの声に振り向くと、あいつが車から降りて私を待ってた。


「うそっ・・・」


そこに立ってたのは、長い髪をひとつに縛って、スーツ姿のあいつだった。


「びっくりした?」


あいつはニッコリ笑って、私に言った。