「菜々、落ち着いて」


私がこんなに興奮してるのに、あいつの声も表情もものすごく落ち着いてた。


「愛情がないなんて、一言も言ってない。でも、責任感じてるのは事実だよ」


「・・・」


「一人の人生、変えちゃったんだから。堕ろせば、菜々の人生は変わらないと思う」


「・・・うん」


「でも、産みたいんだろ?」


「産みたい」


「だったら父親の俺が、傍に居た方がいいだろ?子供のためにも」


「・・・」


「それに、俺はちゃんと愛情持ってる。この子に、感じてるよ」


そう言ってまた、私のお腹に手を当てた。


「子供、好きだから」


笑いながら、私にそう言った。


「だから、考えて」


「・・・うん」