夏恋~それは永遠に~

「なっ!」


電気スタンドが置いてある小さなガラスの机に、グラスを置きながら充留が言った。


「あんたには迷惑かけないから、余計なこと言わないでよ!」


決めたんだから。


産んで、しっかり育てるって。


「親には?」


「・・・まだ」


ふーと、充留が息を吐いた。


「お願いだから、堕ろせなんて言わないで」


涙が出るのを、必死に抑えた。


泣いたら、余計に無理って言われると思ったから。


「菜々」


充留の手が私の頬に触れて、身体がビクンと震えた。


「俺は、堕ろせなんて言ってない」


「へっ?」