パニックになりつつも、部屋を見回した。


「広い」


どのくらいあるかわからないけど、とにかく広い寝室だった。


大きな窓に、ベットと、備え付けのタンスと、あと仕事をするためなのかパソコンが置いてある机。


シンプルって言葉が一番似合う部屋だった。


傍にあったカバンを引っ掴むと、ケータイを取り出した。


「えっ、うそ」


午後6時だった。


「えーここから帰るのに、1時間かかるのに」


てか、ここがどこかわからないんだから、1時間で帰れるかもわからないけど。


独りため息をついた。


そのとき、ガチャンと部屋のドアが開いて誰かが入ってきた。


「あっ、起きた?」


「へっ?」


それは、あのナンパ男。