「嬉しくないのか?」


硬い表情を崩さない菜々に、思わずそう言ってしまった。


「違うよ!嬉しいに決まってんじゃん。でも・・・」


嬉しい。


でも、怖い。


この子は私のお腹で、ちゃんと育ってくれるの?


またあの子みたいに、天国に旅立ってしまわない?


「山下さん。そんな顔しないで」


「先生」


「心配かもしれないけど、今からそんな顔しちゃダメだよ。お母さんがそんな顔したら、赤ちゃんだって嬉しくないでしょ?」


「はい」


「菜々、大丈夫。この子は、あの子の分まで生きるよきっと」


「うん」


「だから、お母さんは笑顔でいてよ」


「そうだね」