お風呂から出て寝室に戻ると、おむすびだけは無くなってた。


「菜々、コーヒー入れてくれる」


「うん」


コーヒーって言葉が出て、これ以上ご飯を続ける気はないってことがわかった。


私は残された食事と一緒に、寝室を出た。


キッチンで、コーヒーを淹れる。


それから、ハワイで買ったお揃いのカップに注ぐ。


「チョコなら、食べてくれるかな?」


小分けに包装されたチョコをいくつか掴んで、コーヒーと一緒に充のところに届けた。


「充、コーヒー」


「ありがと」


パソコンの邪魔にならないところに、それを置く。


それから私はリビングで、髪の毛を乾かしながらテレビを見た。


その間一回も、充は寝室から出て来ることはなかった。


もうすぐ真夜中になろうとしていた。