きっと充の心の中も、おばあちゃんのことでいっぱいだったと思う。


雨の影響もあってか、夜の道はほとんど車が通ってなかった。


いつもは2時間くらいかかる道が、今日は1時間半で行けた。


それでも、私たちには長すぎるくらいだった。


おばあちゃん・・・おばあちゃん・・・


どうか無事でいて。


傘なんか差さずに、病院に駆け込んだ。


エレベーターの上のボタンを押す。


「くそっ!」


なかなか来ない。


充が苛立って、壁をグーで殴った。


「充」


私はそっと、充の手を取った。


震えていた。


「菜々・・・」