「それはまだ、考え中だったけど。でも一回くらいは、留学もしてみたかった」


「そんなに英語が好きなんだ」


「特に理由なんてなかったの。ただ、中学で初めて英語を習って、はまちゃったみたい」


「菜々は思ったりする?」


「何を?」


「俺と結婚しなかったらって」


「充は思うの?」


菜々は少しだけ、顔に影を落とした。


「俺は思ったことないよ」


「私だってないよ」


「そっか」


「どうしてそんなこと聞くの?」


「なんとなく。菜々が英語の話してるとき、楽しそうだったから。ほんとは、ちゃんと大学で勉強したかったのかなって思って」


「私ね、あの子を授かったとき、勉強はいつでも出来るって思ったの」


「うん」