「ダメだ、菜々」


「えっ?」


「なんでもない」


俺は、菜々の細い身体をぎゅっと抱きしめた。


「充、痛い」


ほんとに、どんだけ俺を困らせれば済む。


「今日の夜、覚悟しといて」


ボソッと、菜々の耳元で呟いた。


菜々の体温が、一度上昇した。


「充、恥ずかしいよ~」


「菜々から始めたことだろ」


「そうだけど・・・」


いつまでも抱き合ってる俺たちに、周りから歓声にも似た声が上がってた。


「菜々、戻るか」


「うん」