「もー苦しかった」


唇を離した第一声が、それだった。


「やる~」


「ヒュー」


周りからは、そんな声が上がってた。


私たちがいる反対のところから、微かに波の音がした。


「充、もうすぐ夏だよ」


「ああ」


春のポカポカ陽気。


初夏のさわやかな風。


梅雨のジメジメした季節を乗り越えれば。


私たちが出会った季節がやって来る。


熱い、暑い、夏がやって来る。


きっと、大きな幸せが待ってる。


そんな気がした。