「くしゅん」


唇を離したとたん、菜々の口から小さなくしゃみが漏れた。


「雰囲気壊すなよ」


「ごめん」


照れたように、菜々が笑った。


「嘘。そろそろ身体冷えてきたな。もう寝よう」


「ん」


リビングの電気を消して、寝室に行った。


「充、温かい」


菜々がベットの中で、俺に抱きついてきた。


「おやすみ、菜々」


「おやすみ」


私たちが出会った季節より少し前。


冬が終わって、春の日差しがポカポカとなり始めたころ。


私たちは、結婚式を挙げます。