「そうかもしれない」


「うん。そうかもしれないね」


「菜々から子供が出来たって言われたとき、まさか一回でって正直思った」


「それは私も思った」


「でも堕ろせとは言えなかった」


「私も、堕ろせって言われても産むつもりだった」


「知ってる。俺に叫んだもんな」


「うん」


「あの子は、天国に旅立ったけど」


充は空を見上げた。


私も空を見た。


夕日で、空が真っ赤だった。


「俺たちは、ここから始めよう」


「うん」


「この、海から。俺たちが出会った場所から」