でもさっきみたいに、イライラしなかった。


だってわかってるもん。


充が仕事忙しいってこと。


毎日夜中まで、頑張ってるってこと。


ただ、知って欲しかっただけ。


私がどんな思いで、料理してるかって。


「温めよう」


食べかけのポトフを電子レンジに入れた。


「ありがと」


充が私の頭をポンポンとなでて、机の上を片づけ始めた。


「食べて」


充の前に、温め直した食事を並べた。


「うまいよ、菜々」


一口食べて、充が言った。


「当たり前だよ。いっぱい気持ち、こもってるんだから」