「菜々、行くよ」


「待ってよ~」


私は急いで最後の階段を下りた。


マンションの前には、駐車場から移動させた充の車。


「えっ!」


「わっ!バカ」


あまりに急ぎ過ぎたのか、階段を一個踏み外した。


「はー怖かった」


「バカ!こっちがびっくりするだろ」


「えへへ」


倒れた身体は、運よく充の胸の中に。


運よくってゆーか、充が支えてくれたんだけどね。


「体調良くなったばっかなんだから、走るなよ」


「充が走らせたんでしょ?」


行くよって言うから、急いだんだから。