「何笑ってんだよ」


「えー内緒話って、楽しいなって思って」


そう言って菜々は、くすくす笑った。


「笑ってないで寝る!俺、仕事行くから」


「いってらっしゃい」


「帰ってくるまでに熱下がってるといいな」


「うん」


くしゃくしゃと私の髪をなでて、充は私の部屋を出て行った。


時計を見ると、8時。


「完璧遅刻だね」


私の実家から充の仕事場まで、1時間以上。


8時半から仕事だから、30分以上は遅刻だ。


充のおかげで、私は元気を取り戻しつつあった。


熱も下がってきたし、何より心が軽くなった。


まだ赤ちゃんのことは、悲しいし。