「ん?」


「何でもない」


「菜々」


「なに?」


「元気になったら、いっぱいデートしような」


「デート?」


「俺たち、恋人らしいこと何もしないで結婚しただろ?」


充が声を潜めて、私に言った。


確かに私たちは、お付き合いというものを飛ばして結婚した。


「そうだね」


私も声を潜めて答えた。


下には親が居るから、あまり大きな声でこんなことしゃべれない。


親には、1年くらい付き合って結婚したことになってるから。


「だから、どこ行きたいか考えといて」


「わかった」