宮下晶。晶は体は小さいけれど、とても朗らかな女の子です。

そんな晶は、私立の高校に通うことになりました。そこはいわゆる、「滑り止め」で受けた学校でした。
田舎町に住んでいた晶は、都会にある学校に通うために毎日片道一時間、電車に揺られました。朝はお父さんに駅まで車で送ってもらい、「いってらっしゃい」と言われ電車に乗る。初めの二・三日は慣れない学校生活とひとり家から遠く離れる不安で、ガタンゴトンと揺れる車内で涙を溢したこともあったと聞きました。
けれど幸いなことに、晶の小学校からの付き合いの女友達が二人、違う学部だけれど同じ学校に通っていることが分かり、一緒に通えることになりました。朝、いつものようにお父さんに「いってらっしゃい」と送られ待ち合わせていた友達と「おはよう」と会う、それが晶の日課になりました。