「こりゃとっとと帰ったほうがいいな……。急ぐか」
そう呟いて、麟紅は路地裏に入った。
この細道を通って反対側にある別の大通りへ出れば我が家への近道になる。
大通りへの道のりはさして距離があるわけではない。五分と経たずに目的の通りへ出た。
「雨、止みそうにねえな……。梅雨の夜、雨にさびれる、俺一人」
一人になると途端に(中途半端な)詩人になる麟紅であった。
と、その麟紅の後ろに、また別の傘が現れた。
そう呟いて、麟紅は路地裏に入った。
この細道を通って反対側にある別の大通りへ出れば我が家への近道になる。
大通りへの道のりはさして距離があるわけではない。五分と経たずに目的の通りへ出た。
「雨、止みそうにねえな……。梅雨の夜、雨にさびれる、俺一人」
一人になると途端に(中途半端な)詩人になる麟紅であった。
と、その麟紅の後ろに、また別の傘が現れた。

