一人は予想していた。
 金土師常磐である。
 常磐は五月の終わり頃に麟紅がこの店でバイトをしていると知ると、それ以来ひっきりなしにこの店に顔を出すようになっていた。しかも客の少なく一番ゆっくりできるこの時間帯をピンポイントに狙って、だ。

「うい~、今日は一人やないで~」

 そう言う常磐の隣には、こちらも見慣れた顔があった。

「丁次……」

 御奴(おんど)丁次(ちょうじ)。麟紅のクラスメイトで、常磐に次ぐ長身の持ち主。実際百八十六越えだった(身体測定の後日談)常磐とは一センチほどしか違わないらしい。短めの黒い髪、黄茶色のサングラスをかけて、金色のネックレスをアクセサリーにぶら下げている。