~異種魔法異能力挌闘SFファンタジー~ 帝竜 -ミカドノリュウ- Ⅲ 竜と闇黒の王

「“あの人”は言った、楽園を作るって。“あの人”は言った、それには僕が必要だって」

(“あの人”……? “あの人”ってどこのどいつだ?)

 しかし麟紅の問いは言葉になることは無い。ネロと麟紅の間に緊張が走る。

「“あの人”は言った、竜王を手に入れろって! “あの人”は言った、そうすれば僕が正義になれるって!!」

 ネロの声が次第に大きく、ついには叫ぶようになった。

「“あの人”は言った! 正義になるにはこの世の悪を排除しなきゃいけないって!! “あの人”は言った!! この世の一番の悪は!!!!」

 ドス、と妙な感覚を下腹部に感じた。

「ミサカグラリンク、お前だ」

 炎の剣で抑えていたはずの両手の、その右手の氷の爪が、麟紅のわき腹を深々と貫いていた。